外来種駆除体験と生態系保護プログラム〜北海道の自然を守る、旅の新しいかたち〜
はじめに:旅先で「環境にいいこと」をしてみませんか?
〜 せっかく旅行するなら、自然と触れ合いたい 〜
〜 ただ見るだけでなく、何かを守る活動に参加したい 〜
そんな思いを抱く旅行者が増えている今、注目されているのが「外来種駆除体験」と「生態系保護プログラム」です。
北海道をはじめとした自然豊かな地域では、観光と環境保全を結びつけたエコツーリズムが広がりを見せています。外来種の影響で危機に瀕している在来生物を守る現場に足を運び、自分の手で保全活動を体験する――これは、まさに“心に残る旅”の新しい形です。
今回は、北海道東部を中心に展開されている「外来種駆除体験と生態系保護プログラム」の実態を、旅行者目線でわかりやすくご紹介します。(写真:未来の子ども達に残したい“北海道の透き通った清流”)
第1章 なぜ外来種が問題なのか?
1-1 外来種とは?
外来種とは、人間活動に伴って本来の生息域以外に持ち込まれた動植物のことを指します。意図的な持ち込み(ペット、農作物など)もあれば、貨物船や車に紛れた“うっかり”移動もあります。
日本では、ブラックバス、ウチダザリガニ、アライグマ、オオハンゴンソウなどが代表的な外来種とされており、とくに北海道では生態系への深刻な影響が広く確認されています。
1-2 北海道における深刻な影響例
• ウチダザリガニ(アメリカザリガニ):湖沼の水草や魚の卵を食べ、生態系を崩す。阿寒湖や摩周湖などでも拡大中。

• アライグマ:夜行性で在来種の巣を荒らし、農作物にも被害。人との接触も増えており、駆除対象。

• オオハンゴンソウ(植物):鮮やかな黄色い花を咲かせるが、在来植物を圧倒し、草地を単一化してしまう。

第2章 外来種駆除体験とは?|誰でも参加できる自然保護アクティビティ
2-1 プログラムの目的
「外来種駆除体験」は、単に“捕まえて終わり”ではなく、地域の生物多様性を守るための継続的な取り組みの一部です。
旅行者は自然観察の専門家や地元のガイドと共に、実際のフィールドで活動します。
たとえば:
- ザリガニのわな仕掛けと回収
- アライグマの足跡や巣の観察
- 外来植物の除草作業
- 捕獲した動植物の生態学的説明
- GPSとマップを用いた個体分布調査
こうした体験を通じて、「守られている自然」ではなく「守るべき自然」との関わり方を学ぶことができます。
第3章 旅行者に人気の外来種駆除体験スポット3選
3-1 阿寒湖周辺(釧路市)|ウチダザリガニ駆除ツアー
阿寒湖では、ウチダザリガニの増殖が問題になっており、地域ぐるみで駆除活動が行われています。観光客向けには、ボートに乗って仕掛けたわなを引き上げる「ザリガニ漁師体験」が提供されており、誰でも気軽に参加できます。
体験概要:
- 所要時間:約2時間
- 料金:1人3,500円(用具貸出・保険料含む)
- 対象年齢:小学生以上
アクセス:JR釧路駅から車で約1時間半、釧路空港からレンタカーで約1時間15分
宿泊:
- あかん湖 鶴雅リゾートスパ
- ニュー阿寒ホテル
グルメ:阿寒湖畔のレストラン「ポロンノ」では、ザリガニを使ったフリットなども提供(時期限定)
3-2 美幌峠(弟子屈町)|オオハンゴンソウの手取り除草体験
毎年夏、美幌峠では在来草原の保全を目的とした「オオハンゴンソウ除草ボランティア」が開催され、旅行者も参加可能です。
体験概要:除草用手袋と鎌を使い、外来植物を手作業で駆除します。作業後は高原のハーブティーと地域食材を使った軽食付き。
料金:1人2,000円(保険・軽食・記念品付き)
開催時期:7月下旬~8月中旬
宿泊:
- 川湯温泉街の温泉宿
- 弟子屈町内の農泊施設「てしかが自然学校」
3-3 白糠町周辺(釧路管内)|アライグマ調査同行ツアー
アライグマは夜行性で捕獲が難しいため、トレイルカメラやわなの設置・調査同行型のプログラムが組まれています。環境省と連携して実施される“本気”の保全活動です。
体験概要:夜間観察/足跡調査/カメラチェック/GPSでの行動マップ作成
対象:16歳以上の自然・生態系に関心がある旅行者
宿泊:
- 白糠町内のゲストハウス「エコビレッジしらぬか」
- 釧路市内のビジネスホテルと併用も可
第4章 外来種駆除体験が生む“旅の価値”
4-1 子どもから大人まで、学びと感動
外来種駆除というと「難しそう」「地味そう」と思われがちですが、実際には、
- 自然と真剣に向き合う“冒険”のような感覚
- 自分の行動が地域の未来につながるという“手ごたえ”
- 地元の人との“対話”が生む心のつながり
といった、旅ではなかなか味わえない体験が詰まっています。
4-2 持続可能な旅の形として注目
観光地としての北海道は、その自然の豊かさによって支えられています。その自然を壊す存在が外来種であるならば、「駆除活動に関わる旅」そのものが持続可能な観光の形といえるでしょう。
第5章 参加方法と事前の準備
5-1 予約はオンラインで簡単に
以下のプラットフォームで予約可能:
- VELTRA(エコツーリズムカテゴリー)
- じゃらん体験予約
- 地元NPOの公式サイト(例:NPO法人阿寒ネイチャーセンター)
5-2 服装と持ち物のポイント
- 長袖・長ズボン(虫対策)
- トレッキングシューズや長靴
- タオル・帽子・虫よけスプレー
- 手袋や道具は貸出あり(体験料金に含まれる)
おわりに:自然とつながる、新しい旅の選択肢
「旅行はただ楽しむもの」という時代は、もう終わりつつあります。これからは、「楽しみながら、誰かや自然の役に立つ」旅が選ばれる時代です。
北海道の雄大な自然の中で、自分の手で自然を守る体験をしてみませんか?きっと、心に残る特別な旅になるはずです。