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森で遊ぶ・迷う・学ぶ編~リスでもないのに木に登りたくなる大人のための秘密基地づくりツアー~

  
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森で遊ぶ・迷う・学ぶ編~リスでもないのに木に登りたくなる大人のための秘密...

はじめに|大人になるほど,秘密基地が必要になる

北海道の森を歩いていると,突然,妙な衝動が湧いてきます。

「あの木,登れそうだな」

もちろん,普段の生活で街路樹を見ても,そんなことは思いません。ところが,木漏れ日の差す森,苔の付いた倒木,曲がった枝,鳥の声に囲まれると,大人の中に眠っていた小学生が静かに起き上がります。

今回のテーマは,「リスでもないのに木に登りたくなる大人のための秘密基地づくりツアー」です。

ただし,本当に森の木を勝手に切り,釘を打ち,立派な小屋を建てる旅ではありません。ここでいう秘密基地とは,許可された場所と安全な方法で,落ち枝やロープ,布などを使って一時的な居場所をつくったり,ガイドと森を歩きながら,自分が落ち着ける場所を発見したりする体験です。

北海道には,日本の総面積の20%以上を占める広大な土地と,地域ごとに異なる森林,湖,温泉,自然体験があります。

森遊びを旅行の中心に据えることで,北海道の景色は「見るもの」から「関わるもの」へ変わります。

第1章|秘密基地づくりは,大人の学び直しです

秘密基地づくりと聞くと,子どもの遊びを想像するかもしれません。しかし,大人にとっても非常に学びの多い活動です。

森に入ると,まず「どこにつくるか」を考えます。地面が濡れていないか,頭上に枯れ枝がないか,風が強くないか,水が流れ込まないか。次に,何を使うかを考えます。倒木,落ち枝,ロープ,タープ,地面の傾斜。そこには観察,判断,役割分担,問題解決が必要です。

会議室では意見を言わなかった人が,森では急に「この枝を支柱にしよう」と頼もしくなることがあります。逆に,普段はリーダー役の人が,ロープを結べずに静かになることもあります。

森は,肩書きをいったん外してくれる場所です。

完成度は重要ではありません。少し傾いていても,入口が狭くても,大人四人が無理やり中へ入り,「思ったより落ち着くね」と笑えれば成功です。

秘密基地は,大人にとっても非常に学びの多い活動

第2章|おすすめエリア① 阿寒湖で森と文化を学ぶ

道東で秘密基地的な森体験を楽しむなら,阿寒湖周辺は有力な候補です。

阿寒湖アイヌコタンでは,工芸体験やアイヌ民族ガイドによるツアー,アイヌ料理を通して,アイヌ文化と自然観を学べます。公式サイトでは,「全てのものに魂が宿る」という意識のもと,自然と生きる文化を体験できる場所として紹介されています。

また,アイヌ民族ガイドと森や湖を歩き,文化を学ぶ体験型ツアーも案内されています。森を単なる遊び場として見るのではなく,人と自然がどう関係してきたのかを知ることで,秘密基地づくりにも別の意味が生まれます。(阿寒犬)

阿寒湖へは釧路空港や釧路市内を起点に,バスまたはレンタカーで向かう旅程が一般的です。宿泊は阿寒湖温泉を選ぶと,森歩き,温泉,文化体験を一か所で組み立てやすくなります。

夕食では,ワカサギ,川魚,山菜,エゾシカ料理など,道東らしい食を楽しめます。森を歩いた後の温かい汁物は,料理というより回復装置です。

道東で秘密基地的な森体験を楽しむなら,阿寒湖周辺は有力な候補

第3章|おすすめエリア② 知床で「森を読む」

本格的な森の存在感を味わうなら,知床が候補です。

知床の森では,樹木だけでなく,ヒグマ,エゾシカ,キタキツネ,野鳥など,多くの生き物の痕跡に出会います。そのため,秘密基地づくり以前に,「ここは誰の生活圏なのか」を考える必要があります。

知床で旅行者が楽しむ場合は,個人で森の奥へ入るのではなく,地元ガイドによる自然散策ツアーを利用する方法が安全です。ガイドと歩けば,足跡,食痕,樹皮の傷,鳥の声などから,森を読む視点を学べます。

宿泊拠点はウトロ温泉が便利です。森歩き,知床五湖周辺の散策,観光船,温泉,海鮮料理を組み合わせられます。

ここで重要なのは,知床の森では「基地をつくる」より,「自然の中で自分の居場所を短時間だけ借りる」という感覚です。森は人間の空き地ではありません。先に暮らしている動物たちの場所へ,一時的に入らせてもらうのです。

本格的な森の存在感を味わうなら,知床が候補

第4章|おすすめエリア③ 美瑛・富良野で初心者向け森林体験

初めて北海道で森遊びを体験する人には,美瑛・富良野周辺も向いています。

この地域は丘や花畑の印象が強いですが,白金温泉周辺や郊外には森林景観もあり,宿泊施設,カフェ,温泉と自然散策を組み合わせやすいのが利点です。

旭川空港から美瑛方面は比較的移動しやすく,北海道到着後に長距離運転をしなくても自然体験へ入れます。森遊びの前後に,青い池,丘の展望地,農産物直売所などを巡れば,初心者にも無理のない旅になります。

宿泊はペンション,小規模ホテル,白金温泉周辺の宿がおすすめです。森から戻った後,地元野菜のスープ,パン,チーズ,乳製品を味わえば,秘密基地づくりで消耗した大人の体力も戻ります。

初めて北海道で森遊びを体験する人には,美瑛・富良野周辺も向いている

第5章|リスでもない大人が,安全に木へ登る方法

「木に登りたい」と思っても,その辺の木へ勝手に登るのは危険です。

樹皮を傷つける,枝を折る,落下する,私有地へ入るといった問題があります。特に北海道の森では,地面が湿って滑りやすかったり,枝が見た目以上に弱っていたりします。

木登りを体験したい場合は,専用のロープ,ハーネス,ヘルメットを使用するツリーイングやツリークライミングの体験プログラムを選びましょう。専門スタッフの管理下で行えば,樹木への負担を抑えながら,大人でも安全に高さを楽しめます。

木の上へ少し上がるだけで,森の見え方は変わります。さっきまで見上げていた枝が目の高さにあり,鳥と同じ方向から地面を見る。その瞬間,「リスは毎日こんな景色を見ているのか」と妙に納得します。

ただし,高所が苦手な人は無理をする必要はありません。秘密基地は地上につくっても十分楽しいのです。

高所が苦手な人は無理をする必要はない

第6章|旅行者が特に注意すべきこと

最も重要なのは,勝手に森へ入らないことです。

北海道の森林には,国有林,私有林,保安林,国立公園,農地周辺の林など,さまざまな管理区分があります。自然に見えても,自由に利用できるとは限りません。必ず,ガイドツアー,キャンプ場,体験施設,整備された遊歩道など,利用が認められた場所を選びましょう。

次に,木や植物を傷つけないことです。生きた枝を折る,樹皮を剥がす,釘を打つ,ロープを長時間強く締め付ける行為は避けます。基地づくりに使う素材は,主催者が用意したものや,使用が許可された落ち枝に限るべきです。

ヒグマ対策も欠かせません。出没情報を確認し,単独行動を避け,早朝や夕方の無理な入林を控えます。食べ物やゴミを森へ放置してはいけません。

また,「迷うことを楽しむ」というテーマでも,本当に迷子になってはいけません。スマートフォンは圏外になる可能性があります。地図,飲料,雨具,防寒着,ホイッスルを携行し,行動範囲をガイドや同行者と共有しましょう。

北海道には,国有林,私有林,保安林,国立公園,農地周辺の林などがある

第7章|秘密基地ツアーと相性のよいグルメ・宿泊

森遊びの旅では,宿泊地を「回復拠点」として選ぶことが重要です。

阿寒湖なら温泉宿,知床ならウトロ温泉,美瑛・富良野ならペンションや温泉付きホテル,大雪山周辺なら山麓の温泉宿が候補になります。

秘密基地づくりは,見た目以上に体を使います。しゃがむ,枝を運ぶ,ロープを結ぶ,地面へ座る。翌朝,太ももや腰が「昨日,何をしたのですか」と聞いてくることがあります。そのため,大浴場や温泉がある宿は非常にありがたい存在です。

グルメは,温かくて土地らしい料理が向いています。山菜の天ぷら,地元野菜のスープ,鹿肉料理,鮭のちゃんちゃん焼き,じゃがバター,チーズ料理,海鮮鍋などです。

森の後に食べる料理は,普段よりおいしく感じます。おそらく運動量の影響もありますが,「自分たちは今日,基地をつくった」という謎の達成感も味へ加わっています。

グルメは,温かくて土地らしい料理が向いている

第8章|一日のモデルプラン

午前中は,ガイドと森へ入り,安全説明と自然観察を行います。

地面の状態,風向き,木の種類,動物の痕跡を確認し,秘密基地に向く場所を相談します。その後,ロープや布,許可された自然素材を使って,小さなシェルターを組み立てます。

昼食は,基地の中や近くの休憩所で簡単なスープ,パン,おにぎりなどを食べます。少し曲がった屋根の下で飲むコーヒーは,立派なカフェよりおいしく感じることがあります。

午後は,ツリーイング,バードウォッチング,森林散策,木工体験などを組み合わせます。体験終了後は,使用した素材を片付け,森を元の状態へ戻します。

夕方は温泉へ入り,夜は宿で地元料理を楽しみます。「基地の入口をもう少し広くすればよかった」「あの枝を柱にした人は天才だった」など,反省会まで含めてツアーです。

夕方は温泉へ入り,夜は宿で地元料理を楽しむのが一番

おわりに|大人の秘密基地は,建物ではなく余白です

秘密基地づくりツアーの本当の目的は,立派な基地を完成させることではありません。

予定どおりにいかないことを楽しみ,仲間と相談し,自然を観察し,自分の体を使うことです。大人の日常には,効率,成果,期限,正解が求められます。しかし森の中では,少しくらい不格好でも問題ありません。

屋根から光が漏れてもいい。入口が狭くてもいい。完成後,みんなで中へ入り,「これは基地というより,大きな鳥の巣だね」と笑えれば十分です。

北海道の森は,大人に「遊ぶことを思い出していい」と教えてくれます。リスではないので,木の上で暮らす必要はありません。それでも,木を見上げ,枝を組み,森の中に自分だけの居場所を見つけることはできます。

次の北海道旅行では,観光地を急いで巡るだけでなく,半日だけ森へ入ってみてください。

少し遊び,少し迷い,少し学ぶ。その時間が,忙しい日常へ帰った後も,心の中に残る秘密基地になるはずです。


参考資料

①  環境省 国立公園(阿寒摩周国立公園)

引用理由:阿寒摩周国立公園の自然環境や利用ルール,散策コース,安全に自然を楽しむための基本情報を確認できます。森歩きや自然観察を行う際の基礎知識として,非常に実践的な資料です。

②  北海道公式観光サイト HOKKAIDO LOVE!(アウトドア・自然体験)

引用理由:北海道各地の森林散策,ネイチャーツアー,キャンプ,温泉,宿泊施設,アクセス方法などを総合的に調べられます。秘密基地づくりツアーの旅程を計画する際の参考資料として活用できます。

③  林野庁「森林サービス産業・森林空間の活用」

引用理由:森林セラピー,森林レクリエーション,自然体験など,「森で遊び・学ぶ」活動の考え方や森林を持続可能に利用するための情報が掲載されています。自然環境を守りながら楽しむ視点を身につけるための実践的な資料です。