カムイランドは,旅の体験と学びの総合サイトです。

湿地帯での生物多様性フィールドワーク

    
\ この記事を共有 /
湿地帯での生物多様性フィールドワーク

北海道には、日本最大級の湿地帯である釧路湿原をはじめ、多くの貴重な湿地が点在しています。湿地は単なる湿った土地ではなく、無数の命を育む「いのちのゆりかご」です。水鳥、昆虫、魚類、植物、微生物まで、多様な生き物が共生するこの特殊な環境は、生物多様性の宝庫とも言えるでしょう。

今回は、そうした湿地帯を舞台に行われる「生物多様性フィールドワーク」について詳しくご紹介します。旅行者が実際に参加し、学び、自然の神秘に触れる体験型のツアーとして、今大きな注目を集めています。(多くの貴重な生物が生きづいている釧路湿原)

湿地帯が持つ価値とは・・・

湿地帯は、地球の陸地のわずか6%を占めるに過ぎませんが、そこに生息する生物は地球全体の種の約40%を占めるとも言われています。湿地には、洪水防止、水質浄化、炭素吸収といった環境機能もあります。そして何より、湿地には水と陸の境界というユニークな環境が広がり、特異な生態系が発展する場所でもあるのです。

北海道の釧路湿原、霧多布湿原、宮島沼、ウトナイ湖などでは、多くの絶滅危惧種や渡り鳥が観察され、ラムサール条約にも登録されています。これらの湿地でのフィールドワークは、旅行者が自然を体感しながら、環境保全や生物多様性についての理解を深める貴重な機会となります。

樹上からあたりの様子を伺うオジロワシ

フィールドワークの内容と特徴

「湿地帯での生物多様性フィールドワーク」は、専門家による解説付きのガイドツアーです。以下は、典型的な1日フィールドワークのスケジュール例です。

午前:観察とデータ収集

  • 湿原にてネイチャーガイドによる環境解説(地形、植生、水質など)
  • 渡り鳥の観察(双眼鏡・望遠鏡を使用)
  • 捕虫網や水中ネットを使った昆虫や水生生物の採集
  • 採集した生物の種類を同定・記録

昼食:地元の食材を使ったお弁当(屋外ピクニック)

午後:解析とワークショップ

  • 採取した水のpHや水温などの簡易測定
  • 生物多様性と湿地保全についてのレクチャー
  • 子ども向けには「ビオトープマップづくり」やクラフトワークも用意

この体験は、単なる観察にとどまらず、「科学的に自然を見る目」を養うプログラムとなっており、修学旅行や教育旅行、家族での自然学習にも適しています。

生物多様性フィールドワークは、あなたにとって、“思い出深い体験”になるでしょう

実施地域のおすすめスポット

1. 釧路湿原(釧路市)
日本最大の湿地帯。ノロッコ号に乗ってのアクセスや、釧路湿原展望台、釧路市湿原センターなど、観察に適した施設が整備されています。タンチョウやエゾシカ、シマフクロウなどの野生動物の宝庫です。

2. 霧多布湿原(浜中町)
夏はエゾカンゾウ、初夏はワタスゲ、秋は草紅葉と、季節ごとの植生が魅力。湿原センターには展示や映像があり、湿原に詳しいボランティアガイドも常駐しています。

3. 宮島沼(美唄市)
マガンの飛来地として有名。4月と10月の「ねぐら立ち(夜明けの一斉飛び立ち)」は圧巻。周辺の田んぼや林も観察ポイントになります。

4. ウトナイ湖(苫小牧市)
ラムサール条約登録地で、オオハクチョウやアオサギなど水鳥の楽園。環境省のネイチャーセンターで双眼鏡や長靴の貸出あり。

“生物多様性フィールドワーク”から、今まで経験しなかった多くのことを学ぶはずです

宿泊情報とアクセス

各地において、自然と調和した宿泊施設が整備されています。

  • 釧路エリア:「釧路ロイヤルイン」「釧路プリンスホテル」などの都市型ホテルのほか、「塘路湖エコミュージアムセンター」併設の自然宿泊施設も利用可能。
  • 浜中町:「霧多布温泉ゆうゆ」「民宿はまなす」などアットホームな宿が人気。
  • 美唄市:「アルテピアッツァ美唄」併設の芸術家村やキャンプ場を活用可能。
  • 苫小牧:「ウトナイ湖サンクチュアリロッジ」や「苫小牧グランドホテル」など。

アクセスは、釧路空港、新千歳空港、旭川空港からそれぞれの地域へバスやレンタカーで移動が可能です。JRと組み合わせた鉄道旅もおすすめ。

地元グルメの魅力

フィールドワークの後は、地元グルメでお腹も満たしましょう。

  • 釧路:「炉端焼き」「釧路ラーメン」「ザンギ(唐揚げ)」が定番。
  • 浜中町:「花咲ガニ」「昆布だしの鍋料理」が絶品。
  • 美唄:「とりめし」「美唄やきとり」は外せない名物。
  • 苫小牧:「ホッキ貝の刺身やカレー」などが人気。

湿地にちなんだ「しらうお料理」「ワカサギの天ぷら」など、地域ならではのメニューも豊富です。

費用と予約の目安

  • 大人:8,000〜12,000円(税込)
  • 子ども:4,000〜6,000円(税込)
  • 所要時間:半日〜1日(5〜7時間)
  • ガイド、資料、昼食込み、装備レンタルあり(一部別途)

予約は地域の観光協会、自然センター、旅行代理店、またはオンラインのツアー予約サイトから可能です。繁忙期(5〜10月)は早めの申し込みが推奨されます。

おわりに

湿地帯での生物多様性フィールドワークは、旅行者にとって「学びと癒し」の両方を提供してくれる、かけがえのない体験です。地球環境の大切さを肌で感じながら、未来の自然を守るための第一歩を踏み出す機会にもなります。

北海道の広大な湿地で、生き物たちの声に耳を澄ませてみませんか?あなたの感性が刺激され、忘れられない旅の思い出となることでしょう。