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ちょっと未来志向の自然・冒険旅編~子どもと一緒に「50年後も残したい北海道の景色リスト」を作るファミリー旅~

    
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ちょっと未来志向の自然・冒険旅編~子どもと一緒に「50年後も残したい北海...

キーワード:
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はじめに〜旅の目的を「未来」に置くと、景色は急に語り始める

家族旅行は、だいたい忙しいです。移動、食事、子どもの機嫌、雨、予定変更。けれど、そこに一つだけ“軸”を置くと、旅が一気に物語になります。その軸が「50年後も残したい景色リスト」です。

北海道の自然は、スケールが大きいぶん、子どもが「自分は小さい」と感じやすく、同時に「守りたい」という気持ちも生まれやすい場所です。写真を撮るだけではなく、見た景色に名前をつけ、理由を書き、家族で共有する。これが、未来志向のファミリー旅の骨格になります。(表紙写真:秋のオンネトー)

1〜旅のメイン道具は「リスト用紙」と「子どもの言葉」

「50年後も残したい景色リスト」は、難しい環境学習ではありません。むしろ、子どもの感性を“言葉”にして保存する遊びです。おすすめはA4一枚、タイトルは大きく「残したい景色リスト」。項目は5~10個で十分です。

書き方はシンプルでOKです。

• 景色の名前(子どもが命名して良い)
• どこで見たか
• 何がよかったか(色、音、匂い、触った感覚)
• なくなると困る理由(子どもの言葉で)
• 守るために家族ができる小さなこと(帰宅後の行動でOK)

ここで重要なのは「正解を求めない」ことです。大人が学術っぽくまとめると、子どもは急に黙ります。子どもが「風が冷たくて気持ちいいから」と言ったら、それが最高の理由です。

2〜旅行者が知っておくべき注意点、未来志向旅は安全とマナーが命

この旅の“失敗例”はだいたい同じです。夢中になって、危ない、迷う、自然を傷つける。だから最初に、家族ルールを作っておくと安心です。

安全面の注意

• 森や湿原、海岸は、子どもが走り出す前提で計画する
• ヒグマ対策が必要な地域では、必ず複数行動、熊鈴、時間帯は早め、遊歩道から外れない
• 川沿い、岩場、海岸のテトラ帯は「近づかない」が基本、写真は遠くから
• 北海道は天候が変わりやすいので、薄手の防寒、レインウェア、替え靴下は必携
• スマホの電池は命綱、モバイルバッテリーと紙の地図があると安心

自然保護とマナーの注意

• 「残したい景色」を作る旅なので、採らない、踏まない、追わない、与えない(野生動物に餌をやらない)
• 遊歩道の外に出ない、立入禁止は絶対に入らない
• かわいい花を摘まない、石を積まない、コケを剥がさない
• ゴミは必ず持ち帰る、できれば“拾って帰る”を家族ミッションにする

未来志向旅は、自然を守る話を“説教”にしないのがコツです。「守りたい景色を増やすゲーム」に変えると、子どもは自分から動きます。

北海道では、高確率でエゾシカに出会うことができます。

3〜北海道で「リスト」が作りやすいおすすめエリア

家族向けに、アクセスしやすく、景色の種類が多く、遊歩道が整備されている場所が相性抜群です。

支笏湖周辺

透明感のある湖、森、苔、風。子どもは「水がガラスみたい」と言いがちです。湖畔の散策が中心にでき、無理が少ないのが強みです。

阿寒湖周辺

森と湖、温泉、散策路がまとまり、家族旅行の“拠点”に向いています。朝と夕方で景色の色が変わるので、同じ場所でもリストが増えます。

小樽の海沿いと坂の町並み

自然と街が近く、移動負担が軽めです。海、港、坂道、遠景の山。子どもは「海の音」「カモメの声」を景色として記録できます。

富良野・美瑛エリア

「空の広さ」「畑の模様」「季節の色」がそのまま教材になります。車移動が多くなるので、休憩を多めに組むのがポイントです。

富良野といえば、“ランべダー”が代名詞

4〜アクセスの考え方、家族旅は「移動を短く、体験を長く」

北海道は広いので、移動で疲れるとリスト作りどころではなくなります。おすすめは、

• 空港から1~2時間圏内を拠点にする
• 1日1テーマ、欲張らない
• 「午前に観察、午後は温泉やカフェ、夜にリストまとめ」

この流れにすると、子どもが最後まで楽しめます。

5〜宿泊の選び方、夜が“学びの時間”になる宿が勝ち

宿は「寝る場所」ではなく「編集室」です。リストをまとめる時間が作れる宿が良いです。

• 温泉宿:体を温めると、子どもが落ち着いて振り返りやすい
• コテージやキッチン付き:地元食材で料理すると“守りたい景色”が食につながる
• 湖畔や森に近い宿:朝の短い散歩ができ、リストが自然に増える

部屋に戻ってから、今日の景色を3分だけ発表する「家族ミニ学会」をすると、旅がぐっと締まります。

6〜グルメとアクティビティ、景色を「身体」に刻む仕掛け

食は記憶装置です。景色とセットにすると、50年後も残ります。

• 湖の近くなら湖魚料理、山なら山菜、海なら海鮮、畑なら野菜スイーツ

「この味も残したい」に発展すると、子どもの視点が広がります。アクティビティは、短時間で達成感が出るものがおすすめです。

• 30~60分のネイチャーガイド散策
• カヌー体験(穏やかな水域、家族向けコース)
• 星空観察(夜更かししすぎない範囲で)
• クラフト体験(木の実、流木、ただし採集ルールに従う)

おわりに〜家族の「未来メモ」を持ち帰る旅

「50年後も残したい景色リスト」を作ると、不思議なことが起きます。子どもが、急に静かになる瞬間が増えます。風を聞いたり、光を見たり、同じ場所をもう一回振り返ったりします。

それは、自然を消費する旅から、自然と関係を結ぶ旅への転換です。帰宅後、冷蔵庫にリストを貼ってください。旅行が終わっても、家族の未来志向は続きます。

次の旅先で、リストがまた一枚増える。その積み重ねが、家族にとっての「守りたい世界」の輪郭を、少しずつはっきりさせていくはずです。